教員養成に強く、学生主体運営で関東3部昇格を目指す、文教大学の練習体験です。
<2025年実績>
・関東大学サッカーリーグ戦Norte1部 第5位
<練習体験実施概要>
詳細が確定しましたら、再度ご案内いたします。
※募集の際に条件が付く可能性がありますので予めご了承ください。

教員養成に強く、学生主体運営で関東3部昇格を目指す、文教大学の練習体験です。
<2025年実績>
・関東大学サッカーリーグ戦Norte1部 第5位
<練習体験実施概要>
詳細が確定しましたら、再度ご案内いたします。
※募集の際に条件が付く可能性がありますので予めご了承ください。

大学サッカーの進路選びは、
「なんとなく」では絶対に後悔する。
進路選びは “自分の意志との出会い”から始まる。
ここでは、数千人の進路を見てきたプレイメーカーの知見と、
資料に散りばめられた“本質”をまとめ、
君がたった4ステップで進路を決められるようにする。
いまの自分がどの位置にいるのか。
この分析なしに、大学選びはできない。
進路選びは 「自分の将来 × サッカー面」の掛け算がポイント。
サッカーのレベルはもちろん、自分が将来なにをしたいのか。
そのために学べる環境はなにがよいのか。
まずは自分に聞いてみよう:
ここを曖昧にしたまま大学を選ぶと、
「思っていた環境と違った…」
という後悔につながる。
進路志向の分類がある

これはめちゃくちゃ重要。
なぜなら、
AとCでは行くべき大学が全く違うからだ。
例:
志向が明確になれば、大学の選択肢は“絞れる”。
だからこそ、まず自分と向き合い、どのような場所でサッカーをしたいか、を少しずつ考えていってほしい。
MOISHでは、志向に沿った大学の検索が可能なので、ぜひ使ってみてもらいながら、なにか聞きたいことや、悩みがあれば、気軽にLINE相談窓口を活用してよう!
全国に約300の大学サッカー部がある中で、自分の進路を考えるのは簡単なことではない。
志望校の絞り方として、取れる資格や学べることから考えて大学を絞る形も一つのやり方だ。
例えば
・体育教員になりたい
・サッカーにプラスになる学問を学びたい(スポーツ系)
・トレーナーに興味がある
・経営・マーケティングを学びたい
・国際系に進みたい
・ITを学びたい
などなど
サッカー以外の軸”を持つことが未来を強くするし、志望校の絞り込みにも活用できる。
「練習会に行け。雰囲気で全てが分かる。」
これは数多くの先輩達が後輩へのメッセージとして残した言葉だ
・どんな人がいる?
・監督・コーチの空気感は?
・練習の強度は?
・部の文化は?
・自分が4年間がんばれるか?
練習体験・参加や試合を観に行ってみることが進路決定の鍵になるが、現状ではなかなか志望するか迷っている状態で、練習参加へはいきずらい。
MOISHではそんな文化を変えるべく、大学サッカー練習体験「トラベル」を始動する。
大学サッカー部と連携をして、様々なジャンルの大学の練習体験を実施できる取り組みをスタンダードにしていくので、ぜひチェックしてほしい。
志望校選びに正解はない。
自分を知り
志向を決め
将来を見据え
現場で確かめる
この4ステップを踏んで
目指したい志望校を『自分』で決めていくことが重要だ。
そして、保護者、チームのスタッフに自分の気持ちをしっかり伝えていこう。
一生懸命な日々を自分で選ぶ力を
今日この瞬間こそが「進路探しのスタート」

大学サッカーの入部プロセスは、高校生が想像している以上に“複雑”で多岐にわたる。
大学によって「入部までのルートが全く違う」
このCHAPTERではその“リアルすぎる入部の仕組み” を解説する。
大学サッカー部の入部ルートは多岐にわかれる。
➀スポーツ推薦 (サッカー部で決められる)
いわゆるサッカー部で特定の選手に対してスポーツ推薦の内定を出すことができるパターン。選手のレベル・人間性・競技成績を加味し、スカウトや練習参加をメインに選考されることが多い。
②スポーツ推薦 (受験で大学側が選考する)
サッカー部で内定を出すことができず、大学の総合型入試(スポーツ・アスリート入試系)で競技実績や小論文、面接などで大学が選考するパターン。主に学力が高い大学で多い。
③入部許可のみ (受験で自力合格が必要)
スポーツ推薦に入り込めなかった場合やそもそもスポーツ推薦がない大学で多いパターン。サッカー部の入部はOKだけど、自力で入学してくださいねのパターン。主に指定校推薦やその他の総合型・学校推薦型入試での合格が必要になる。進路決定においてポイントとなるパターン
④入学後のセレクション
数は少ないが、スポーツ推薦がない大学やスポーツ推薦入学者以外の一般入部の可否を決めるものとして実施しているパターン。入学後に体力テストや仮入部期間を経て、入部可否を決定している。
⑤誰でも入部ができる
スポーツ推薦の有無に関わらず、誰でも希望すれば入部できるパターン。一部の学力が高い強豪校や、学生主体で楽しく本気で活動しているチームや上のカテゴリーを目指しているチームに観られる傾向だ。
すべてに共通して重要なのは、高校3年生の4月~夏までに志望校への「練習参加を必ず行う」ということだ。
(強豪校はおそくとも高校3年生の5月・6月までには)
そのために必要なのは、「自分の意志を示す準備」を高校3年生進級時にはすでにできるようにしておくこと。
大前提として、その大学を目指す強い意志と覚悟が必要になる。
上記で明示した5つのルートが示すように、必ず「受験」という2文字が目の前に立ちはだかる。
受験をするということは――
ことが必要になってくる。
ということは、以下に高校生活をサッカーだけではなく、日常生活や勉強面も含めて努力するかが鍵になってくる。
逆をいえば、高校生活をがんばればがんばるだけ、選択肢の幅は大きく広がるということだ。
もしかしたら、指定校推薦で受験し、③入部許可のみ (受験で自力合格が必要)のパターンで滑り込めるかもしれない。
だから、よく言われるだろう。
「勉強はしておいた方が良いよ!」
「学校生活も進路に関わるよ!」
まさしくその通りでだからこそ、「今」から準備を進めることが重要なのだ。
「自分の意志を示す準備をすべし」
練習参加で大学が見ているポイントは明確で、プレーをみることはもちろん、面談も併せて実施する大学が大半だ。
上手さだけでは落ちる。
むしろ大学側は
「人として4年間やれるか?」
「強い意志を持っている?」
を最重視している。
君がどの大学を選ぶかで、
4年後の自分の姿はまったく違う。
でも、大事なのはここだ:
自分と向き合い、さまざまな角度から情報収集を行い、自分で決めていった進路に不正解はない。
その選択を正解にできるように一生懸命な日々を過ごすことで自分次第ですべて正解にできる。

大学サッカーの4年間は、
高校とは比べものにならないほど“濃い”。
大学サッカーの構造(Iリーグ・リーグ戦・学生主体運営)を組み合わせると、1日の生活は想像以上にタフで、想像以上に楽しい。
ここでは、全国の大学サッカー部を支援してきた視点から
強豪校の“リアルな1日” を描き出す。
強豪校で朝練の場合、朝からスケジュールがパンパンだ。
寮生活の大学では、ほとんどがこのくらいに起きる。
ウォーミングアップの時点で高校時代の強度を超える。
判断の速さ、フィジカル、球際、全てが違う。
大学サッカーでは “やらされる練習” は存在しない。
4年間で成長する選手は、自らの意思でレベルアップを図る。
ここで“今日の自分の調子”が決まる。
朝練前は補食程度で済ませる場合、練習後に寮であれば食堂で、一人暮らしであれば持参した朝食などでエネルギー補給を行う。
授業の間に移動・復習・グループワーク。
体育会だから授業が免除される…なんてことはない。
大学は高校と違い、
この自由度の高さは強みであり、弱みでもある。
総合大学では文系・理系・教職・ITなど多様な学生に囲まれる。
サッカー部以外の仲間と出会い、価値観が一気に広がる。
学年が上がるにつれ、授業は減り、自由な時間が増えるということは自分自身がどうその時間を使うかで成長度が決まる。
ここが大学サッカー最大の“伸びしろ”の時間
計画的に時間を使い、自身を高めること経験はこの経験は、社会に出て“超強力な武器”になる。
大学サッカーは週末が試合だ。
大学サッカーは誰にでも試合チャンスがある世界。
高校より出場機会が多い選手は山ほどいる。
自分と向き合い、Aチーム昇格やスタメンを目指して戦う
ここまで紹介してきたのは、強豪校の朝練パターン。
これ以外にも夕方に活動をしているチームも多い。
大学1年生は授業が比較的多いものの、学年が上がるにつれ、授業数は減り、より自由な時間が増えてくる。
自己研鑽に励む、たくさんの思い出を創る、友達と過ごす。
サッカーを続けながらでも、自分のやりたいことは思いっきりできるはずだ。
1日の生活を見ただけでもわかるように、
大学サッカーは“自由”であり“責任”であり“挑戦”だ。
高校のように
「決められた時間に行けばいい」
世界ではない。
自分で選び、自分で動き、自分で戦う。
この4年間をやり切った大学サッカー選手が、
就職でも、社会でも、人生でも強くなる理由はここにある。

大学サッカーで伸びる選手と、
4年間で消えていく選手──
この差は、才能や高校時代の経歴より “考え方と習慣” がつくる。
大学は「成長する選手」「成長しない選手」がハッキリ分かれる場所だ。
そしてサッカー選手としてだけではなく、人間的な成長がそこにある。
ここでは、何百人という大学選手を追ってきた経験をもとに
“伸びる選手の8つの共通点” をまとめる。
大学サッカーは“自立”が全てだ。
練習の質・量、授業・サッカーの両立、生活の全てを
誰かが指示してくれるわけではない。
「自分の意志との出会いと決断の機会」は成長の核。
伸びる選手は、
「どうしたら上手くなるか?」を自分で決めて動く。
強豪大学の空気を感じれば一瞬でわかる。
伸びる選手は例外なく、
これができない選手は、Aチームに上がれない。
大学サッカーの練習は自由度が高い。
だからこそ、
自主練の差がそのまま4年後の結果になる。
上に行く選手は、必ず自分の強みを伸ばす、弱みを改善することに焦点当てる。
やらされた練習は、成長につながらない。
成長には「成功体験」だけでなく、
“フィードバックをちゃんと受ける姿勢” が必須。
伸びる選手は、
ミスを分析し、すぐに改善行動に移す。
逆に、伸びない選手は言い訳が多い。
大学サッカーでは、上手い選手と毎日練習できる。
この“最高の環境”を活かせる選手だけが強くなる。
学ぼうとする姿勢がある選手は無限に伸びる。
大学は“人間性”の比重が高い。
強豪大学ほどこれが顕著で、
Aチームは例外なく “コミュニケーション怪物” だ。
この力は就職でも最強の武器になる
大学生活は自由が多い。
だからこそ、伸びる選手は
「空き時間の質」が異常に高い。
4年間を走り切るには、時間の使い方が命だ。
「挑戦へのリミットを外す」 という言葉。
伸びる選手は、
どれだけ苦しい時期でも挑戦をやめない。
挑戦を続ける選手だけが、覚醒する。
大学サッカーは、
才能よりも “習慣”
上手さよりも “姿勢”
メンタルよりも “挑戦心”
で勝負が決まる。
君がこの8つを身につければ、
大学の4年間は必ず“人生を変える4年間”になる。
「今日この瞬間から進路は動き出す」
君が大学サッカーを選びなら、自分で動き出すなら
未来は必ず強くなる。

大学サッカーの進路相談で、
最も多い質問は“高校生本人”からではない。
実は 保護者の不安 だ。
このズレを埋めることが進路成功の最大の鍵になる。
この章では、
保護者が抱える“2大不安”を体系的に解消していく。
大学サッカーは費用面で“高い”と思われがちだが、大学によっても大きく異なる。
学部や大学の種類は非常に幅広い。
つまり、“費用の幅”も大学によって大きく違う。
「大学サッカーの費用」は“投資”であり“浪費”ではない。
大学サッカーで得られる
これは 自分の取り組み方次第でキャリアの質を大きく上げる。
4年間サッカーを続けた学生は、
就職率・就職先の幅が明確に広い。
「やりきる力」「成功体験」「サッカー部で社会を学ぶ」が武器になるからだ。
保護者が最も心配していること。
でも、ここが一番誤解されている。
大学サッカーは“人としての市場価値”が最も伸びる4年間。
つまり、サッカーを続ける=
将来のキャリアが狭まるどころか “逆に広がる”。
これらは、社会人になってから必ず求められる資質だ。
近年、大学サッカーにも多くのスポンサーがつくようになった。
この大半は体育会系人材の確保に少しでも役立てたいという企業側の思いも含まれているはずだ。
4年間ただ何も考えずにサッカーをしていればよいわけではない。サッカーという環境の中でも、オフザピッチでも「一生懸命」に取り組み続ける。
4年間本気でサッカーを続けた学生は、“社会にも求められている”
保護者が不安になるのは、
君を大切に思っている証拠だ。
だからこそ、
“君自身の意思” と “親の不安” を丁寧に橋渡しすることが大事。
「自分の意志を理由も含めて明確に示す」
君がやりたいことに本気で向き合った瞬間に
保護者は心から安心できること。
君が本気で動けば、
保護者も必ず応援してくれる。

俊の視界のすみで、白いものがひらりと舞った。
それは蛾だった。
街灯に吸い寄せられているのか、危なげな軌道で空を漂っている。
ふっと俊は、昼間の大地の話を思い出す。
“夢ってさ……まっ白な光みたいなもんなんだ”
蛾は光を追い、近づきすぎて羽を焦がす。
それでもまた光へ向かっていく。
「……俺も、なのかな」
俊は自分でも気づかないうちに口にしていた。
逃げずに向き合いたい。
進みたい。
でも怖い。
その全部が、いま胸の奥でからまっていた。
家路につきながら、俊は自転車を止めた。
気づいたら、ビエント大高のグラウンドへ向かっていた。
大地が見せてくれた “本気のサッカー”
あの光景が、どうしても頭から離れなかった。
夜の風が冷たい。
けれど胸の中は熱かった。
俊は駆けだした。
息が白くなる。
ペダルを踏む足が震える。
だけど止まらなかった。
(会いたい。もう一回、話したい。あの人に…)
坂道を登りきる頃には、息は切れていた。
だが、そこにあった。
夜のグラウンド。
そして──
俊はすぐに、大地を見つけた。
彼の背番号は、自分と同じ“10”。
その姿を見た瞬間、胸が熱くなる。
大地もすぐ俊に気づき、顔をほころばせた。
「さっそく来てくれたのか」
俊は息を整えながら、強くうなずく。
原も目を丸くしている。
「ビブロスの練習……すごかったです。僕、また見たい」
俊の声は震えていたが、目だけはしっかり前を向いていた。
練習が終わり、しばらく並んで歩いた。
やがて俊が立ち止まる。
「……木嶋さん」
振り返った大地に、俊は深く頭を下げた。
「僕、挑戦したい。怖いけど……でも、行きたい。行ってみたいんです。ユースに」
その声は震えていた。
だけどその震えは、逃げたいからじゃない。
前へ進もうとする、産声のような震えだった。
大地はしばらく俊を見つめたあと、やわらかく笑った。
「……ああ。お前なら行けるよ」
俊の肩が、大きく震えた。
大地は空を見上げた。
古いライトの下、無数の虫が舞う。
パチッと白い光が弾ける。
「あの光にな、俺はずっと惑わされてたんだよ」
俊が不思議そうに見つめる。
「だけどな。迷ってもいい。怖くてもいい。光に近づいて羽が焦げても、また飛べばいい」
俊は、大地の横顔を見つめた。
「……僕、飛べますかね」
「飛べるさ。飛びたいって思った時点で、もう飛んでるんだよ」
俊はこぶしをぎゅっと握った。
胸が熱くて、息が震えた。
でも不思議と怖くなかった。
大地と原が見守る中、俊はボールを蹴った。
風を切り、ボールは夜空へ吸いこまれる。
その軌道はまるで、
蛾が光へ向かうように、
恐れより希望に引かれるように。
大地が、静かに微笑んだ。
「……いいボールだ」
俊も、照れくさそうに笑った。
その夜──
俊ははじめて、自分の“光”を追っていいと思えた。
そして二つの影が、夜のグラウンドに伸びていった。
それはまるで、
未来へ走り出す合図のようだった。
── 終 ──

「じゃあ、この町に来て後悔したの?」
俊の問いに、大地は少し息をついた。
「いや。正直ここに来た時は、そんな余裕もなかった。コンパニェイロスを出なければいけなくなったけど、サッカーへの思いを断ち切れなくてな…」
前のチームを辞めざるを得なかった日々。
行き場を失った気持ち。
それでも、大地は“選手でいたい”という一心でここまで来た。
「選手のマッチングサイトを見つけて、ビエントに来ることができた。だからその時は、とにかく続けられるだけで嬉しかったんだ」
俊は真剣な眼差しで、大地の横顔をじっと見つめていた。
「決して望んで来たわけじゃないし、後悔がなかったと言えば嘘になる。でも…それだけじゃない」
大地はゆっくりと言葉を探しながら続ける。
「この町の光はやわらかくて、なんだか心地良いんだよ」
俊は、不思議そうな顔をした。
「光が、心地良い?」
大地は軽く笑ってから、静かに語り始める。
「俺は、夢っていうのはまっ白な光みたいなものだと思っているんだ。大きくて、まぶしくて…めざそうとすれば目がくらんで、他のものが見えなくなる」
俊の瞳が揺れる。
「一度見失うと、まわりがやけに真っ暗に見える。でもな…迷ってる時の俺は、真っ暗な場所をただよってるだけじゃないって気づいたんだ」
大地の表情がほころんだ。
「今のチームにはいろんな人がいる。プロから来た人。これから大舞台をめざしてる人。この土地で育ち、家業を継いだ人。五歳の息子に、プレーする姿を見せることを生きがいにしてる人もいる」
それを聞きながら、俊は深く息をつく。
「一つのボールを追っていても、ゴールの姿は一つじゃない。大きいか小さいかじゃなく、それぞれが“自分だけの光”を持ってる」
俊の肩から、すっと緊張が抜けていく。
「それじゃあ、木嶋さんのゴールは?」
俊の問いに、大地は苦笑いしながら考えた。
「…そうだな」
そしてふいに、にやりと笑った。
「夢を追いかけたおかげでこの町に来て、俊に会えた。だから…お前が一流の選手になったら、俺は心の底から“夢を見て良かった”って言えるだろうな」
言いながら、自分で少し照れくさくなる。
だが次の瞬間、ルームミラーに映った俊を見て大地はふっと笑った。
俊はもう、静かな寝息をたてていた。
俊が帰路につく頃、空は残照を失い始めていた。
自転車を走らせると、山影の残り火のような色が吸い込まれるように夜へ変わっていく。
ペダルに力を込めたその時だった。
視界のすみで、白いものがふわりと舞った。
ひらり。
ひらり。
俊は思わず自転車を止め、その白い光を見つめた。
それは、大地が言っていた“光”とはちがう。
だけどどこか似ている。
近づけば消えてしまいそうな、淡くて儚い光。
俊の胸の奥で、小さな炎が灯る。
俊はひとつ息をついた。
大地の言葉が残した余韻と、胸の奥のざわめきを抱えたまま。
「僕の…ゴールって、なんなんだろう」
問いはまだ答えを持たない。
だけど、心の中に小さな明かりが灯り始めていることだけはわかった。
(→いよいよ最終章、第4章へ)

放課後、いつもより早く終わった授業。
子供たちが次々とバスに乗り込む中、最後に入ってきた少年の姿に大地は目をみはった。
――七尾俊。
俊は緊張したような顔を向けるだけで、すぐ奥の席へ進んだ。
住宅地を過ぎ、バスが山道へ入る頃には乗客は二人だけ。
そこでようやく俊が近づいてくる。
「木嶋さんに…話したいことがあって」
── 兄の影、胸の奥の罪悪感 ──
「この前、お兄ちゃんとひさしぶりに電話で話したんです。そしたら…」
俊は嬉しそうに笑う。
「お兄ちゃん、またサッカーを始めていたんですよ!」
大地はハンドルを握りながら、俊の言葉に耳を傾ける。
しかし俊はふと沈んだ表情になり、ぽつりと言った。
「…なのに俺は、うまくならない。お兄ちゃんより下手なのに、ユースに誘われて…なんか、申し訳ないんです」
バスの揺れに重なるように、俊の声も揺れていた。
── 止まらない違和感、大地の言葉 ──
「俊、お前はどうしたいんだ?」
俊は戸惑ったように目をそらす。
「どうしたいって…そんなの、僕なんかが…」
「ウソだろ」
大地の言葉は、静かだけど強かった。
俊は唇をかみしめて、ようやく声を絞り出す。
「僕は……挑戦したい。怖いけど……でも、本当はやってみたいんです」
山の上に差しかかった頃、俊はついに本音を吐き出した。
「あのね木嶋さん……俺、本当は行ってみたいんです。ユースに」
「じゃあ、行けばいいだろ」
俊は顔を上げる。
「だけど…怖い。失敗するのも、行って変わるのも。兄ちゃんやみんなを置いて、自分だけ前に進むのが…」
大地はゆっくり言葉を選んだ。
「俊、挑戦ってのは誰かを裏切ることじゃない。自分を裏切らないためにやるんだよ」
俊の目が揺れた。
子供たちが帰ったあと、ビエント大高の練習が始まる。
大地は遠ざかっていく俊の背中を目で追っていた。
原が近づいてきて、肩を落とす大地に声をかける。
「もったいないな。上の環境でプレーすれば、俊の力はもっと開花すると思ったのに」
「そうですね。だけど…あいつをしばっているものは、環境だけではないみたいです」
遠くで「バチッ」と光が弾ける。
大地は白く瞬く光を見つめながら、胸の奥に引っかかる疑問を強くしていった。
夜、俊は言われた通り、ビエントの練習を見学に来た。
俊はすぐに、その中から大地の姿を見つけだした。
大地の背番号が自分と同じ「10番」であることを知り、俊の胸は熱くなる。
選手たちの迫力、汗の輝き、真剣な眼差し。
その空気は俊の心を揺さぶらずにはいられなかった。
練習後、俊はついに大地へ告げた。
「…そういうわけなんで。ごめんなさい」
「なるほどな。分かった、ありがとう」
俊は深く頭を下げて立ち去った。
呼び止められなかった大地は、沈むようにうなだれた。
原が近づき、ぽつりと言う。
「駄目だったのか」
「はい。すいませんでした」
そしてまた光が灯り、虫が弾けるような音が響く。
この夜、大地の胸には
“俊を縛っているものの正体”
が、はっきりとわからないまま残された。
(→続きは第3章へ)

── 薄明のグラウンド ──
その街の光
夕暮時の燃えるような朱はあっという間に山の端へとうつろい、空はもう夜を告げる濃い青色で満ちていた。そのおとずれは少しずつ冷たさを増す空気と一緒に、日を追うごとに早くなっているようだ。
そんな空の中を「ふっ」と、ふいに白い光がまたたいた。木嶋大地はふと顔をあげて、コートの一角に目をこらす。
そこには長い支柱の上に円形のライトが縦三×横二列の形で並んだ、ナイター用の照明が立っている。
このグラウンドは今から二〇年ほど前に県外からの合宿客を見こんで設営された宿泊施設のなごりで、決して新しいと呼べるものではない。六つあるライトの一つは蛍光管が切れ、残りの半分以上もその後に続くかのように弱弱しい明滅をくり返している。
そんな光の前を、無数の小さな虫が飛びかっていた。
その中の一匹が光に吸いこまれるかのように、明滅する蛍光灯に近づく。次の瞬間「パチッ」とか細い音があがり、白い光がはじけた。
虫が蛍光灯にぶつかって、軽いショートを起こしたようだ。
ぼんやりとながめている間にも、同じような光景は二度・三度とくり返されていった。
「…おい、大地。聞いているのか?」
「えっ?あ、はい。すいません、原さん」
隣に立つ原の言葉ではっと我に返った大地は、とりあえず謝った。
五つ年上の原は彼の言葉を信じているのかいないのか、大きく息をついた後で視線をそらす。二人の前にはラインもひかれていない芝のグラウンドが広がり、その上を赤と白のビブスをつけた少年たちがボールを追って駆け回っている。
しかしボールは彼らの間を右往左往するでもなく、ほとんどまっすぐにグラウンドをつらぬいていく。大地の目は自然と、そのボールを操る一人の少年を追っていた。
「お前はどう思う?七尾俊のこと」
大地が黙っていると、原は容赦なく続けてきた。
大地が俊の話を聞いていたのはごく最近のことだ。コンパニェイロスのユースの誘いが来ている。その話を打ち明けられた大地は、複雑な思いと違和感に捕らわれていた。
「なんですか?木嶋さん」
きょとんとした表情に若干の不安をにじませて、俊はたずねる。大地はあえて笑顔を浮かべて、彼に話しかけた。
「お前、このチームはどうだ?」
「え?楽しいですよ。友達もたくさんいるし」
「そういう意味じゃない。今のプレーで満足しているのかってことだ」
大地の言葉に俊の表情がぴんと張りつめる。
「…ま、満足してるっす」
「ウソだろ」
俊は視線をそらす。
大地はふき出しそうになるほど、その反応がわかりやすかった。
だが、同時に胸にひっかかる違和感もあった。
「コンパニェイロスのユースの話、原さんから聞いたぞ」
善光寺コンパニエイロス。北信地域最大級のJ3チーム。
年に一度のセレクションには県中から才能ある少年たちが集まる。
そのユースから、七尾俊に直接声がかかった。
俊の家は学校から歩ける距離なのに、その日だけバスに乗った。
不自然すぎる行動。
大地は理由があると確信していた。
放課後、いつもより早く終わった授業。
子どもたちが次々とバスに乗り込む中、最後に入ってきた少年の姿に大地は目をみはった。
――七尾俊。
俊は緊張したような顔を向けるだけで、すぐ奥の席へ進んだ。
住宅地を過ぎ、バスが山道へ入る頃には乗客は二人だけ。
そこでようやく俊が近づいてくる。
「木嶋さんに…話したいことがあって」
── 兄の話、もう一つの光 ──
「この前、お兄ちゃんとひさしぶりに電話で話したんです。そしたら…」
俊は嬉しそうに笑う。
「お兄ちゃん、またサッカーを始めていたんですよ!」
大地はハンドルを握りながら、俊の言葉に耳を傾ける。
だがこの後の会話は、俊、大地、そしてこの“光”の物語を大きく揺さぶることになる。
(→続きは第2章へ)